人間とAIの二人三脚と思いきや(アップグレード、Upgrade)
2020-06-08
上映時間が95分のアメリカ・オーストラリア制作の近未来を舞台にしたバイオレンスアクション映画です。
あらすじはテクノロジーが発達している近未来で、空にドローンが飛んで街を監視し車の自動運転が日常になっている世界です。
妻を殺され自身も全身麻痺のけがを負わされ車いす生活になった男が高性能AIチップを体に埋め込み人間離れした身体能力を手に入れ、襲ってきた男たちを捜していくという話です。
主人公のグレイ(ローガン・マーシャル=グリーン)が体に埋め込まれた高性能AI(ステムという)とコミュニケーションをとりながら(ステムがグレイの鼓膜を振動させてグレイにしか聞こえないが会話はできるという設定)、妻アシャ(メラニー・バレイヨ)を殺した犯人たちを捜していくのですが、AIのはずのステムが妙に人間臭いのです。
機械感が希薄というか。ステムが人の心の機微に詳しすぎるというか。そのせいでグレイとステムの掛け合いって、人間とAIというよりも人間同士のものという感じがしました。
生身の人間の感覚のグレイでは処理しきれなくて、ステムに体の主導権を交代してやってもらうという場面があるのですが、やることが極端なのです。
機械だから容赦がないというよりかはサディスティックな感じさえします。こういうところも人間臭く感じるのかもしれません。
グレイとステムが協力してというよりも常にステムが主導権を握っているような感じです。ステムがグレイを連れ回しています。
アクションはAIが体を動かしているため最適化した人間らしくないアクションが面白かったです。体の起こし方もそういう起き上がり方はしないだろうという極端な動きが新鮮でした。
近未来という設定なのですが低予算ということもあって、あまり近未来感は出ていません。挙げるとしても車の自動運転くらいでしょうか。
ドローンによる街の監視も精度が高くなく、現在でもあちこちにある街頭カメラとあまり変わらない印象です。途中でVRとかノートパソコンとかも出てきますがこれも今時でした。
ステムはデジタル機器なら操作できるようですが、登場するのはアナログ機器が多くデジタル機器が少ないので操作している場面も少ないです。
人間とAIのデコボココンビや妻殺害の犯人を追うというストーリーはありきたりだと思うのですが、ひねったアイデアでテンポよく話を進めており面白い作品に仕上がっています。