異世界モノの変わり種(異世界落語)

2020-06-25

以前、棚に並んだ本の中からふと目に留まった漫画が「異世界落語」です。昨今、なろうものというか異世界モノって巷にあふれているのですが、落語を題材にしたものは珍しいと思い手に取ってみました。原作は小説家になろう発だそうです。私が購入したのはコミカライズ版です。原作は朱雀新吾、漫画はゴツボ×リュウジ、角川書店から出版されています。

あらすじ

魔族の侵攻により滅亡の危機を迎えていたサイトピア国。天才召喚師・クランエと宮廷視聴者ダマヤは、国の命運をかけて異世界からの救世主を召喚するつもりが、間違えて落語家・楽々亭一福を召喚してしまい・・・!?

一話は「時そば」を落語ネタとして披露しています。話の構成としては、一つの落語ネタを前後編に分けての二話構成になっています。

魔族の侵攻によってエルフやドワーフが自国を失いサイトピアに亡命しているのですが、元々仲が悪いので揉め事ばかり起こしている。それを見た一福が仲裁に入り落語を披露するというのが一話の流れです。

召喚されたのが異世界なので、時間の読み方や食べ物が違います。元ネタの「時そば」を異世界で使用される言葉や食べ物に落とし込みアレンジして披露しています。高座が終ったあとには仲違いをしていたエルフとドワーフが打ち解けて落語について話し合っている。

異世界という舞台で初めて落語を知る人たちというのは、海外で初めて知る落語に似ているのかなと思ったのですが、文化も種族の違う人たちに伝わるのかなと素朴な疑問を持ちました。落語のある文化圏の人はすんなりとイメージできることを異文化圏の人に伝えるのはすさまじい気がするのですが、そこは噺家の技量ということなのでしょうか。改めて落語とはこんなにも頭を使うものなのだなと感じました。

冒頭でも述べましたが、落語と異世界モノというのは見たことがなかったので興味津々でした。帯に柳家喬太郎が推薦とか原作小説監修などと書かれているので、柳家喬太郎のファンとしては読まざるを得ないと思いました。まぁ、監修していたことは手に取るまで知らなかったのですが、主人公のイメージが若いころの柳家喬太郎なのだとか。確かに飄々とした感じは納得できます。登場人物としての楽々亭一福はなろう系にあるようなチート技能は持っていない普通の人間です。急に異世界に召喚されて落語を披露していますが、今後のことについても不安を持っているというのも高評価です。なろう系の人物ってそういうのをあっさり受け入れるところがあるのでいつも違和感がありましたので。チート技能や戦闘技能を持たない落語家が強制召喚された異世界で不安を抱えながらも異世界用にアレンジした落語を披露して魔族の侵攻で落ち込んでいた人々を盛り上げていく話です。